今回は『練習で大切なこと』について書きたいと思います。
『練習で大切なこと』は練習に『プレーの基本コンセプト』が含まれているかがポイントになります。
まず『コンセプト』とは何か。〈*辞書:コンセプト= 抽象表現。本質の構成要素。基本的な概念 / 概念 = 形式論理学で、事物の本質をとらえる思考の形式。個々に共通な特徴が抽象によって抽出され、それ以外の性質は捨象されて構成される。内包と外延をもち、言語によって表される〉とされています。
簡単に言うと「事物の本質を明らかにする説明方式の要素」となります。
『プレーの基本コンセプト』は①『認知』(状況の把握)、②『判断』、③『実行』(実践)です。
③『実行』はどの練習にも含まれますが、①『認知』と②『判断』が含まれているかが大切なポイントになります。
『認知』『判断』『実行』が含まれる練習はどのようなものか?
より完全な『認知』『判断』『実行』が含まれるものが『試合』です。
その『試合』に人数やゴールの有り無し等の調整を行うことによって、いろいろと違った目的・状況の練習を行うことが可能になります。
小学生の公式『試合』は8人制となりますが、各選手のプレーの回数を増やす場合は4対4(ひし形)や6対6(ひし形+2ウイング)。よりコントロール(トラップ)・パスを練習したい場合はゴール無しの2対2+2(4(ひし形)対2)や3対3+1(4(ひし形)対3)が有効です。
(*サッカーでは前・後・右・左があることから、ボールポゼッションを行うには4人のひし形が基本のポジショニングとなります)
ゴール無しの練習で大切なことは常にボールを保持するチームが数的優位であること。
試合ではボールを持っていないチームはキーパーがゴールを守るため、必ず攻撃チームが数的優位となります。
4対4の試合は実際には4対3(+キーパー)、6対6の場合は6対5(+キーパー)で行われます。
そして、2対2、3対3の『試合』はより攻撃的になり、4対4からはより守備的要素・戦術要素が加わります。
2対2、3対3では、2対2=2対1(+キーパー)、3対3=3対2(+キーパー)となり、1人、2人の守備では中央・右・左の3つのスペースを埋めることができないことから、攻撃側が正しく攻めた場合、守備側は戦術的に守ることができず、攻撃を防ぐことができません(*1対1に追い込み個人技術でボールを奪うことは可能)。そのため攻め合いとなり、より攻撃的な練習となります。
守備の原則として、戦術的守備には中央・右・左の3つのスペースを埋める最低3人が必要です。
4対4(4対3+キーパー)からは守備の原則である3人を満たし、中央・右・左の3つのスペースを埋められることから、戦術的に正しく守れば3人の守備で4人の攻撃を守ることが可能になります。
そのため、4対4からは戦術的に守備側が守れることから、攻撃側も守備戦術を崩すための攻撃戦術が必要となり、5対5、6対6と人数が増えるに比例して戦術度が増していきます。
尊敬するクライフが残した「6対6がよりエキサイティングな試合だ」の言葉のように、自分も6対6がより攻撃と守備、個人技術と戦術のバランスのとれてた『試合』の人数だと思います。
注意することとして、ウォーミングアップでは接触プレーを防ぐ目的もあり、対面パスやコーンドリブル、リフティングやボールタッチなどを取り入れています。
マラドーナのように世界の歴史に残る天才プレーヤーが1日中『試合』が続くストリートサッカーから誕生することは偶然ではありません。
『試合』(ゲーム)がより完全な練習です。
いかに練習に『認知』『判断』『実行』が含まれているか。
いろいろな練習メニューがある中で、1つの目安として頂ければと思います。
そして、『認知』『判断』は『実行(技術)』以上に難しく深いものだと理解して頂ければ嬉しく思います。
YUコーチ