唯一の負け方

川久保 悠

 

明けましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いいたします。

 

 

今回は若干44歳にしてアルゼンチン代表をカタールワールドカップ優勝へと導いた、若き天才指揮官リオネル・スカローニ監督がワールドカップ前のインタビューで話した、アルゼンチン代表の『唯一の負け方』について書きたいと思います。

 

知的かつ哲学的で、誰にも敵意を抱かない人間性で知られるスカローニ監督。

 

彼が言うアルゼンチン代表の『唯一の負け方』とは

 

スカローニ監督:

「私たちアルゼンチン代表の負け方は一つしかありません。私たちが選ぶ唯一の負け方はグランドで全力を尽くし、最後の一滴の汗までもグランドで流すこと。そして仮に負けたとしてもアルゼンチン全国民に誇りと感動を届けることです」

 

勝ちにはたくさんの勝ち方がありるとスカローニ監督は言います。

 

2-0で勝っていれば主力選手の怪我の予防、イエローカードなどの警告による出場停止の回避、次の試合に向けての体力の温存など、勝ちは必ずしも全力を出し切るものではなく、必ずそこには予防、回避、温存などの要素が生じます。

 

反対に、負けには予防や回避や温存の要素はなく『負けている』=『全力を出し尽くす』となり、チームとして最も全てを出し切り、最も感動的となるものが『負け方』となります。

 

ワールドカップまで36戦無敗で辿り着き、初戦の敗戦を乗り越え、準々決勝のオランダ戦では2-0から追い付かれての勝利。

 

そしてワールドカップ史上最高の試合と称される決勝のフランス戦では2-03-2から2度にわたって追い付かれての優勝。

 

アルゼンチン代表の同点に追い付かれてからのより勇敢に闘う姿勢はまさに『唯一の負け方』を実践した結末でした。

 

サッカーでも、人生でもそのチーム、その人のより本質的な部分が見える瞬間は敗戦の現実的可能性に直面したときです。

 

『負け方』を正しく理解すること。

 

サッカーの真の大切さ、美しさは『負け方』にあると理解すること。

 

そして、チームとして全力を出し尽くす『唯一の負け方』こそが最もチームを勝利に近づけてくれる力になるのではないでしょうか。

 

アルゼンチン代表の素晴らしい優勝を一つのモデルとして、INDEPENDIENTE JAPAN としても『唯一の負け方』を理解、確立し実践していきましょう。

 

子供たちのサッカーそしてこれからの人生に少しでも参考になれば嬉しく思います。

 

 

YUコーチ